投資用の不動産を購入する場合、土地と建物を併せて購入することになります。
(借地権の場合も、税法上は土地と同様の扱いになります。)
区分所有マンションの場合には土地を購入している感覚はないかもしれません。
しかし、契約書をよく見てみると土地の権利も入っています。
契約書中の売買代金の部分に
「土地4,000万円、建物6,300万円」
と明記されていたり、
「総額1億300万円、うち土地4,000万円」
と記載されていれば分かりやすいのですが、
「総額1億300万円、うち消費税相当額300万円」
と記載されているケースが多々見受けられます。
この場合、消費税相当額が300万円なので建物価格は300万円×105/5=6,300万円
土地価格は1億300万円-6,300万円=4,000万円と計算して把握するしかありません。
なぜ、このように分かりにくい表記をしているのでしょうか?
それは売主は建物金額が低い方が消費税の負担が少ないためです。
売主は建物金額のうち、消費税を国に納税しなければなりません。
(課税事業者の場合に限る)
建物が4,200万円なら200万円、6,300万円なら300万円を納税しますから、できるだけ建物金額が低い方がよいのです。
ついでに言えば、不動産業者も税抜売買価格から3%の仲介手数料を取りますので建物金額が低い方がほんの少し仲介手数料が高くなります。
こうして、買主は建物金額が高い方が有利なのにも関わらず、建物金額が低く売買契約書が作られる傾向があります。
最低でも土地と建物の固定資産税評価額の比率までは建物比率を高める交渉はするべきです。
売主や不動産業者の言うことを素直に聞いていては損をするだけです。
買主は建物金額が高い方が有利なのは建物価格は減価償却により経費にすることができるが、土地価格は売るまで経費にできないためです。
(例)総額1億円、家賃年収1,000万円の不動産を購入した。耐用年数は10年であり、10年後に8,000万円で売却した。
・ 土地2,000万円、建物8,000万円の場合
☆1~10年目の所得税・住民税(43%)
(家賃収入1,000万円-減価償却(建物の1/10)800万円)×43%=86万円
86万円×10年間=860万円
☆売却時の所得税・住民税(20%)
(8,000万円-2,000万円)×20%=1,200万円
☆合計税負担
860万円+1,200万円=2,060万円
・ 土地8,000万円、建物2,000万円の場合
☆1~10年目の所得税・住民税(43%)
(家賃収入1,000万円-減価償却(建物の1/10)200万円)×43%=344万円
344万円×10年間=3,440万円
☆売却時の所得税・住民税(20%)
(8,000万円-8,000万円)×20%=0円
☆合計税負担
3,440万円+0円=3,440万円
どうだったでしょうか?
合計税負担も建物価格が高い方が有利ですし、土地価格は売るまで経費にできずキャッシュフローに貢献しないのです。
節税は購入前から始まっています。
売買契約書の原稿の段階で土地・建物価格の按分は慎重に検討しましょう。
このように紹介すると「では1億円の不動産を土地500万円、建物9,500万円として契約できるのか」という質問が必ずあります。
結論から言えば、NOです。
根拠のない按分はできません。
この土地・建物の価格の按分について税法上は「合理的な方法で按分」という曖昧な表現で規定されています。
ある事案でこの按分を最高裁まで争い、固定資産税の評価額で按分することが合理的という判決が出たことがあります。
これが唯一の按分方法ではありませんが、税務署と争いになった場合には税務署側はこの判例を出して固定資産税の評価額での按分を主張してくるケースが多いと感じられます。
他の按分方法を利用する場合であっても固定資産税の評価額で按分した価格はある程度気に留めておいた方がよいでしょう。
そのほかに不動産鑑定士の評価額で按分、路線価で土地を計算し残りを建物とする、建物を再調達価格で計算し残りを土地とする、これらの折衷など種々の按分方法があります。
自分に最も有利なものを選択できるわけではなく、合理的な計算方法を利用するのが建前ではあります。
しかしある程度の計算の裏付けがあれば税務署と交渉することはできますのでいろいろな方法を検討してみて下さい。
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